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多摩川の源流「水干」探訪記 |
多摩川の源流「水干」は、山梨県甲州市塩山の笠取山(標高1,953m)山頂直下にあります。
「水干」とは、沢が山の斜面を登り詰め、水が枯れてなくなる場所「沢の行止まり」を意味する言葉です。
多摩川は、最初の『一滴』から水干沢を流れ、一之瀬川→丹波川→奥多摩湖に流れ込み、全長138km の長い道のりを東京湾に向かって下っていきます。途中、秋川、浅川、野川など多くの支川を合わせ、河口の羽田沖で東京湾へと流れていくのです。
9月中旬、美しい多摩川フォーラムのメンバーを中心に、多摩川の最初の一滴「水干」の探索に行って参りました。
国道411号線より、一之瀬林道入り口を入り、作場平橋の駐車場に車を止め、笠取山の「水干」に向かって登山を開始いたしました。
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【登山ルート】
《登山路》
作場平橋(標高1,315m)→一休坂分岐→
やぶ沢峠→笠取小屋→雁峠分岐→分水嶺
→笠取山山頂(同1,953m)
《下山路》 【水干経由ルート】
水干→笠取小屋→ミズナラ林の急坂→
一休坂分岐→作場平橋
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【作場平橋からの登山道入り口】 |
【一休坂分岐を経て水干5.2kmの案内板】 |
【一休坂分岐の案内板】 |
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作場平橋から20分ほど歩くと一休坂を右に分けるヤブ沢分岐に出ます。一休坂は急な登りのため、ヤブ沢峠へ向かいます。ヤブ沢分岐から約50分ほど歩きます。この登山道は沢づたいになっているため、沢音を聞きながら山登りができ、快適です。ヤブ沢峠を越え笠取小屋を目指します。
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【沢の流れに沿って登山道があり、丸太橋が数箇所かかっています。新しく整備された橋や古くコケが生えて趣きのある橋もあり、
楽しめます。】 |
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笠取小屋に着く頃には小雨が降り出し、カッパを着ての登山となりました。
天気の良い日には大菩薩嶺が見えるようです。
笠取小屋から整備された道を歩くこと10分、開けた草原に出ます。草原はこの時期、一面ススキの原で素晴らしい景色です。雄大な景色を眺めている先に雁峠分岐がありました。小高い先に小さな分水嶺があります
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【笠取小屋】 |
【笠取小屋】 |
【雁峠分岐案内板】 |
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【小さな分水嶺案内板】 |
【分水嶺】 |
【分水嶺・三方向への道】 |
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【小さな分水嶺】ご紹介
この小さな峰は、ちょうど3つの河川の分水嶺になっています。
この峰の東側に降った雨は、関東平野の西部を潤す「荒川」となり、東京湾に注ぎ込みます。また、西側に 降った雨は、甲府盆地を南下した後、富士山の西側を通り抜け太平洋に注ぐ「富士川」となります。
そして、南側に降った雨は、東京水道水源林で磨かれ、奥多摩湖に貯えられたのち「多摩川」となって、都民のみなさんの生活用水として使用されます。
ほんの少し離れた位置に落ちたばかりに、雨水のゆくえは、東に西に、そして南へと向い、それぞれの表情をもった河川として流れ下ることになります。
―東京都水道局案内板より― |
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【笠取山山頂への道】 |
【山梨県笠取山山頂】 |
【埼玉県笠取山山頂】 |
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小さな分水嶺を通り、少し歩くと笠取山山頂への急坂が目に飛び込んできました。
分水嶺(標高1,820m)から笠取山(同1,953m)山頂へのルートは、スキー場のゲレンデのような斜面で、かなりの急登です。
歩をあげるごとに急速に高度が増し、岩場をよじ登る箇所もあり、体力も必要です。
山頂は、雨模様のため景色は悪かったのですが、登頂はやはり気持ちの良いものです。
ここから、一番の目的の『水干』に向かいます。
今までの整備された登山道とは違い、岩や木の根もあり足場の悪い登山道でした。
山頂より山の東側に回り込み、30分ほどで水神社【水干】に到着しました。
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【水干標柱】 ―多摩川の源頭 東京湾まで138km― |
【葉先からの一滴】 |
【水干祠の跡】 岩にくぼみが掘られ、水が溜まっています。 |
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―水干(みずひ)―
最初のひとしずくは見えたでしょうか?
ここが、沢の行止まりの意味で「水干」と名づけられた多摩川の始まりです。
すぐ上の稜線付近に降った雨は、いったん土の中にしみこみ、ここから60mほど下で、湧き水として顔を出し、多摩川の最初の流れとなります。
この流れは、水干沢→一之瀬川→丹波川となり、奥多摩湖に流れ込み、そこからは、多摩川と名を変え、138kmの長い旅を経て、東京湾に流れ込みます。
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この日は、笠取山付近で小雨が降ったため、「ひとしずく」ではなく、数滴がしたたり落ちていました。
「大河の流れも一滴の雫から』と言われるとおり、この澄んだ一滴の水から「多摩川」が始まり、綺麗に澄んだ川のまま、東京湾にまでたどりついて欲しいものです。
そのためには、多摩川の流域に住む私達が、この「多摩川」を守り続けていくことが大事だと、改めて感じました。
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【水場道】多摩川の最初の流れが見える場所の案内板 |
【水干】より山裾を写した景色 |
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